パソコン用ゲームをダウンロード販売している最大手『Steam』、海外のゲームが簡単に、安く手に入ることから海外ゲームファンには長年利用されているサービスです。
一方、日本のゲームは専用ハード用に作られることが多く、パソコン用が提供されることはこれまであまりありませんでした。
ところが2015年後半頃から、Steamでの提供を行う日本のゲームが増え始めたのです。
いったい何が起きているのでしょう。
■Steamで良く言われている「おま国」とは
2002年にサービスを開始したSteamでは、これまで多くのゲームを取り扱ってきました。もちろん日本でもそのサービスを利用することができ、日本にいながら世界中のゲームを楽しむことができるのです。
しかし日本のゲーム市場のシェアは圧倒的に専用ハードが締めており、日本製のゲーム、特に大手メーカーのゲームは家庭用のみに限定され、パソコン向けには販売されることは極めて稀でした。
逆に海外ではパソコンゲームのシェアが高いため、海外販売をするゲームの中にはパソコン用が存在し、一部はSteamでの販売も行われていたのです。
ところが、そのSteam版は日本語に対応していなかったり、日本から購入する時のみ割高に設定されていたり、最悪の場合は日本では購入不可にされていたりと露骨な差別仕様になっていることが多いのです。
この国による冷遇仕様を「おま国(お前の国には売らない)」と呼びます。
これは日本製のゲーム、国内でパッケージ販売している海外ゲームなどに多く、その仕様を取っているメーカーへの批判にも繋がっているのです。
■国産ゲームのパソコン版が出なかった理由
前述の通り、国内のゲームシェアは圧倒的に専用ハードが占めていました。
そのため各メーカーはそのハードが搭載しているCPUに合わせたゲームを作ります。もちろん複数のハードで出す場合は異なる物を用意することになります。
専用ハードに搭載されているCPUはパソコンが持っているものと異なるため、家庭用かパソコン用のどちらかを作ったところで簡単に移植することはできないのです。
ゲーム開発はコストがかかる、新規参入しにくいと言われたのはその辺りにあります。
作るのであればシェアの大きい物、日本では専用ハード用を選ぶしかなかったのです。
この事態を大きく変えたのがWindowsと互換性を持つXBOXと、パソコンで使われる命令系統で動くCPUを搭載したPS4の登場です。
■専用ハードとパソコンのマルチ展開ゲーム
家庭用の専用ハードがパソコンと同じプログラムで作れるようになったことで、インディーズブランドや海外メーカーの参入が急増しました。
逆に専用ハード用のゲームがパソコン市場に出回ることにもなり、ゲームパソコンを持っていればわざわざ高価なハードを買う必要もなくなります。
一見するとハードの普及が減り、シェアが縮小しそうに見えますが、ゲームソフトが購入しやすくなることでファンを増やすことができます。また新規メーカーの参入によってアイデアに富んだものが生み出され、業界自体の活性化も図れます。
ハード間の境界をなくすことは決して悪いことではないのですね。
このため、作りやすくなったパソコン版の提供を検討する国内メーカーが増えるようになりました。中にはデベロッパーとしてインディーズゲームを提供するところも出てきています。もちろん日本向けにも販売されます。
2017年予定の「LITTLE NIGHTMARES」(バンダイナムコ)
「NieR: Automata」(スクエアエニックス/プラチナゲームズ)のSteam発売発表
このように手軽にできるようになることはゲームファンに取っても嬉しいことですね。
今後も増えていくことに期待しましょう。
(LITTLE NIGHTMARES 公式サイト)
http://ln.bn-ent.net/
(NieR: Automata 公式サイト)
http://www.jp.square-enix.com/nierautomata/