かつて世界を二分する大国として君臨していたソビエト連邦は1991年に解体しましたが、それまでの間に国内で行われていたことは非公開なものが多く、現在でも謎に満ちた国として扱われることが多いのです。
それらは一風変わった魅力となっていて、いろいろなゲームで扱われることがあります。
2014年に発表され、2016年9月からサービス開始となるオンラインゲーム『トゥモローチルドレン』もその1つです。
■『トゥモローチルドレン』の不思議な世界
京都のゲームメーカー「Q-Games」が制作している『トゥモローチルドレン』は、冷戦時代にソビエト連邦が行った実験によって崩壊した世界が舞台となっています。
プロジェクトクローンと呼ばれる姿になるプレイヤーは「同士」となって「労働」に勤しみ、町の「繁栄」を目指します。
ときおり町を襲う怪物がやってくるのでそれとの「闘争」も行います。
この「労働」「繁栄」「闘争」がこのゲームの要素であり、その部分がソビエト連邦風味となっているわけですね。
特にプレイヤーを「同士」と呼ぶ辺りは典型的と言えるでしょう。
ゲーム中に聞ける音声、タイトルに流れる歌などはすべてロシア語と徹底しています。
共闘、共有という言葉が多く使われ、共産主義一色に染まっているように見えますが、実は資本主義の魔の手は伸びていて、それに染まっている住人(NPC)から裏取引を持ちかけられることもあります。
プロモーションビデオでは「不正取引は断固拒否するように」と言っていますが、取り締まるはずの警官が裏取引を持ちかけてくるくらいですので拒否しなくても罰則はありません。
トゥモローチルドレン 紹介トレイラー
こんなソビエト連邦色の強いゲームですが、作っているのはロシアのメーカーではなく、イギリス人のディラン・カスバート氏が率いる日本のゲームメーカー「Q-Games」です。
どうやればこんな不思議な世界を作れるのでしょうね。
■京都で創作活動を行っているゲームメーカー
Q-Gamesと聞いてもとっさに何のゲームを作っているメーカーなのか、どれくらいの規模の会社なのかを答えられる人は少ないのではないでしょうか。
実際Q-Gamesブランドのゲームはまだ少なく、企業としての規模も小さいのでAAAクラスを多く手掛けているメーカーの影に隠れてしまう規模です。
しかしQ-Gamesの代表のディラン氏は名作「スターフォックス」のプログラマーであり、3DS用の「スターフォックス64 3D」のディレクターも務めた実力の持ち主です。
最近ではインディーズゲームの発展を目指し、社団法人「日本インディペンデント・ゲーム協会」(JIGA)を設立されるほど精力的な活動を行っておられます。
社員数は年々増加しており、2016年1月に人数増加のために本社を移りましたが、拠点は設立当時から京都に限られています。
創作活動に良い刺激を与えてくれるとして、ディラン氏が絶賛している町です。
この拘りが良い作品を生み出すのでしょう。
トゥモローチルドレン メイキングトレイラー
■『トゥモローチルドレン』は9月7日から全世界で先行スタート
当初は2015年秋に配信開始の予定でしたが、2016年に延期され、さらにプレイヤー参加のテスト結果を受けて長らく配信日が決まらない状態が続いていました。
しかし延期のおかげで多くの変更や追加要素が行われ、ついに有料版の配信日が決定しました。
無料版の予定もありますがこちらはまだ日程は確定しておりません。
PS4専用ですが意外な発想から生まれた独特な雰囲気を持ったゲームなので、多くの方に体験していただきたい一品です。
(トゥモローチルドレン 公式サイト)
http://www.jp.playstation.com/op/thetomorrowchildren/playersinfo/2016/08/info011.html