キム・ウンジュさんは、2人の娘と1人の息子を持つ母親です。彼女には言語障害があり、子供たちと話をすることができず、本を読んであげることもできません。周りの母親たちが子供たちに当たり前にしてあげられることができず、長年悩んでいました。
キムさんは、「もし、私が子供たちと一度だけ話をすることができるなら、誕生日にハッピーバースデーを歌ってあげたい。」と願います。すると、そんなキムさんのためにある寄付が集まったのです。それは、10,017人からの声の寄付だったのです。
この沢山の声をエンジニアが特別な機械で加工し、キムさんの声に似た一つの声に仕上げたのです。キムさんも1か月間練習を重ね、人生初の「ハッピーバースデー」を完成させました。
キムさんは、11歳の娘の誕生日にこんな手紙を贈りました。
「愛する娘へ-11歳のお誕生日おめでとう。これまでハッピーバースデーを歌ってあげられなくて、ごめんね。あなたの友達は毎年、この歌を歌ってもらえるのに。だけど、あなたはそのチャンスさえもなかった。今日は歌えるからね。大好きよ。2015年10月23日」
そして、誕生日当日、ケーキを囲んで静かに待つ子供たちの前で、キムさんの抱き続けた夢が叶う時が来ました。手話を交えながらゆっくりと丁寧に歌うキムさんのハッピーバースデーには、11年分の思いがこもっています。
お母さんの頑張る姿に、子供たちも涙が止まりません。お母さんは思わず、「何でこんな嬉しい日に泣いているの?」と質問します。11年目にして初めてお母さんの歌を聴けた少女は、「すごく良かった。お母さんの声が大好き。」とコメントしています。
筆者も1歳児を育てていますが、子供のために歌ったり本の読み聞かせをすることは日常的にしていることで、特に苦労することもありません。しかし、それがどんなに大きな愛情を子供に与えているのかに気付かされた映像でした。