2014年6月に投稿されたある夫婦の愛に溢れる動画です。
夫のメルヴィン・アムラインさんと妻のドリスさんは、60年前に結婚した仲睦まじい夫婦です。しかし、メルヴィンさんは2011年にアルツハイマーを発症し、ドリスさんは注意深く夫を看ていなければならなくなりました。
そして、遂に母の日の前日、事件は起こりました。
歩くのにも補助が必要な夫のメルヴィンさんが、姿を消してしまったのです。
メルヴィンさんがいなくなってから40分後、ドリスさんは警察に通報しました。心配でたまらなかったドリスさんですが、幸いにも自宅から2マイル(約3200キロ)離れた場所で、メルヴィンさんは無事に保護されました。
メルヴィンさんを発見した警察官は、当時の様子をこう振り返ります-「彼は自分がどこから来たのか分からず、自宅の住所も言えませんでした。しかし、ただ徘徊していたのではなく、はっきりと行き場所が分かっていました。」
母の日に毎年ドリスさんに花を贈っていたメルヴィンさんは、花を買うためにお店に行きたかったのです。
メルヴィンさんが「花を買うまでは帰れない」と訴えたため、警察官は「手伝うしかない」と思ったそうです。そのままメルヴィンさんを店まで案内し、花の購入を手助けし、足りないお金をキャッシャーに渡している姿が防犯カメラ映像に残されています。
そして、無事にメルヴィンさんを自宅まで送り届け、メルヴィンさんはドリスさんに花を贈ることができました。メルヴィンさんは、自分のことを思う夫の心が見えたと感動したそうです。
ドリスさんは、「記憶にないことでも、心が覚えている。」とインタビューでコメントをしています。アルツハイマーで無くなってしまう記憶はたくさんありますが、遥か昔の思い出や、繰り返ししていた行動は不思議と覚えているのです。
筆者の祖母が正にそうです。同じことを何度も何度も質問してくるのですが、70年前の原爆当日のことを突然語りだすことがあります。
ドリスさんは、記憶が薄れていく夫の姿を目の当たりにし、寂しい気持ちになることもあると思いますが、今でも大切に思ってくれているという夫の愛情を実感でき、さぞ嬉しかったことでしょう。