Amazonと言えばネット通販会社の最大手として誰でも知るところですが、そのAmazonがゲームスタジオ開発スタジオを設立、無料でゲームエンジンの提供を始めることを正式発表しました。
■ゲームエンジンとは?
ゲームソフトを開発する場合、一からすべてを作り上げようとすると莫大な費用と手間がかかってしまいます。そこで、ゲームの中核である動きやグラフィックを制御する共通のプログラムを用意し、それをベースに開発が行われるのが普通です。この共通プログラムをゲームエンジンと呼びます。
ゲームエンジンにはマルチプラットフォームに対応し、異なるプラットフォーム(コンピュータシステム。WindowsやMac、iPhone、アンドロイド、各種ゲーム機などのことです)上でゲームを動作させることが可能です。
近年、異なるゲーム機でもプレイ可能なゲームが増えているのは、こうしたゲームエンジンを利用して移植作業が行い易くなっているおかげでもあるといえます。
■マルチプラットフォーム対応のゲームエンジン「Lumberyard」を無償提供
Amazonが公開を発表したのは「Lumberyard」というゲームエンジンです。
「Lumberyard」は「Far Cry」シリーズや「Crysis」といった人気タイトルに使用されているCrytek社のゲームエンジン「CryEngine」をベースとするマルチプラットフォーム対応のゲームエンジンです。
「Lumberyard」は完全無償提供され、サブスクリプション(ソフトウェアをレンタルし、その使用期間に応じた料金を支払うソフトウェアの利用形態のひとつ)やロイヤリティが一切発生しないことが売りとされています。
Amazonがゲームエンジンを無償提供できるのは、この「Lumberyard」がAmazonの運営するクラウドコンピューティングサービスである「Amazon Web Service(AWS)」や、Amazonが買収したことで話題となったゲーム実況配信で有名な「Twitch」に統合されているからです。
AWSやTwitchと統合されていることにより、「Lumberyard」で開発したゲームでオンラインプレイをしようとすれば自動的にそのサービスを利用することになり、結果的利用者の増加が見込めるというわけです。そのため、「Lumberyard」では、Aws以外のWebサービスの利用はできない仕様になっています。
ネット利用に制限がかかるとは言え、完全無償であることは、ゲーム開発を行うデベロッパーには大きな魅力となることは間違いないでしょう。