14年前の9月11日、私は米オハイオ州に留学中でした。朝目が覚めると、大学の寮のラウンジでは大音量でテレビのニュースが流れていて、生徒たちも慌ただしい様子でした。
ほとんどの授業は休講になり、遠く離れたオハイオ州の小さな田舎町でさえ異様な雰囲気に包まれていました。当時、ひたすら悲しむ人ばかりを目の当たりにしていたのですが、テロ現場で命を懸けて必死に人命救助に当たった警察、消防、レスキュー隊員が沢山いて、彼らの何人かも犠牲になってしまったことを知ったのは、少し日にちが経ってからでした。
ブルターニュも同テロの人命救助犬として活躍した一員で、現在も生存している唯一の救助犬です。テロの直後、現場に到着したブルターニュのオーナーのデニースさんは言葉を失います。しかし、ブルターニュの方を見下ろすと、まるで「仕事の準備はできているよ!」と言っているかの様だったと言います。
この動画の撮影当日、ニューヨークにある1 Hotel Central Parkというホテルは、ブルターニュとデニースさんを招待し、ブルターニュに「人生で最高の日」を贈るための16歳の誕生日ツアーを決行しました。
2人は空港でリムジンに迎えられ、ホテルに到着すると、高級な部屋でウェルカム・フードのサービスにご満悦。タイムズスクエアの大型ビジョンで
は”Happy Birthday”の他、テロ当時の現場での2人の写真と共に「救助の任務に当たってくれてありがとう」のメッセージが映し出されます。最後のサプライズとして、ホテルではお誕生日会を用意してくれていました。沢山のプレゼントを貰い、バースデーケーキまで食べたブルターニュは、嬉しそうな表情を見せます。
ツアー中にブルターニュが行く先々では、街の人たちがブルターニュを撫でて感謝をしてくれたそうです。ホテルはブルターニュが所属するTexas Task Forceに1,000ドルの寄付をし、更なる救助犬養成に役立てられるそうです。
災害で活躍した救助犬が、このように特別な形で称えられることは珍しいことではないでしょうか。人間の言葉を理解できない犬が、ここまで忠実に支持に従えるようになるまでは、相当の忍耐と訓練を要したことでしょう。
災害で命を懸けて救助に当たる自衛隊員やレスキューの方たちには頭が下がりますが、人間より短い人生なのにも関わらず、同様に命を懸けて我々人間を助けてくれている動物もいるのだということを、皆さんにも知っていただきたいです。