洋ゲーの中でも特にボリュームの大きなRPGは、残念ながらそのとっつきにくさ故に日本国内ではあまりヒットしないのが実情です。
しかし、中には日本国内でもそのゲームを元ネタとするネットスラングを生むほど話題になるタイトルも存在します。
それが『The Elder Scrolls V: Skyrim』です。
■「昔はお前のような冒険者だったのだが、膝に矢を受けてしまってな」
『The Elder Scrolls V: Skyrim』は2011年11月に発売されたBethesda SoftworksのRPGです。
同社の看板タイトルである「The Elder Scrolls」シリーズのナンバリングタイトルとしては5作目に当たる作品で、発売2日で340万本を売り上げるヒット作品となりました。
洋ゲーファンならずとも、こんなネットスラングを目にしたことのある人は多いかと思います。
「俺も昔は◯◯だったが、◯◯してしまってな」
言い訳のテンプレートとして良く用いられるこのセリフ、」実はこれ、『Skyrim』が元ネタになっています。
ゲームの舞台となるのは、異世界タムリエルの北方にあるスカイリム地方。
そこには多くの城塞都市があり、それを守る衛兵が駐屯しています。
そんな衛兵に話しかけると、ときおりこんなセリフを口にします。
「昔はお前のような冒険者だったのだが、膝に矢を受けてしまってな」
かつては自分も冒険者として自由に世界を旅してまわっていた……年老いた衛兵が若かりし日を回想してつぶやく、深いセリフです。
……深いセリフ、でした。
なぜこのセリフがネットスラングになったのか。
別に意味深いセリフだったからではありません。
それはこのセリフを口にする衛兵が世界中に何人も存在するからです。
オープンワールドゲームである『Skyrim』には数多くのNPCが登場しますが、シナリオに関係するキャラクター以外のキャラクターは基本的にどこに言っても同じセリフしか言いません。
件のセリフもそんなNPC用の汎用セリフとして設定されているせいで、世界中どこに言っても『膝に矢を受けた元冒険者の衛兵』が存在してしまうのです。
プレイヤーはどこに言っても『膝に矢を受けてしまってな』とぼやく衛兵と出会うことになり、そのシュールさが受けて「言い訳のテンプレート」として、「俺も◯◯だったが◯◯してしまってな」というスラングを生んだ、というわけです。
ちなみに、原作のゲーム中でのセリフは「膝に矢を受けてしまって……」であり、語尾の「な」は元セリフにはついていません。
■世界中で盗まれまくるスイートロール
「膝に矢を受けてしまってな」ほどではありませんが、Skyrimをプレイしているとどうしても耳に残る単語が他にもあります。
それが「スイートロール」です。
スイートロールは『Skyrim』以前の同シリーズにも登場するおなじみのお菓子でもあるのですが、『Skyrim』で特にその存在感が際立っているのは、上記の「膝に矢」のセリフと同じく、それがNPCの汎用セリフに含まれるからです。
「当ててやろうか?誰かに、スイートロールを盗まれたかな?」
「赤子の手からスイートロールを盗むよりも簡単だ」
これはNPCがプレイヤーキャラをからかったり、バカにするときに口にするセリフで、どうやらこの世界では、「スイートロールを盗む」=「誰でもできる簡単なこと」のようですね。
このセリフもまた、Skyrimの世界のどこに言っても聞かされることになり、「スイートロール」という言葉がプレイヤーの記憶に嫌でも残ることになるわけです。
■リマスター版発売を記念して公開されたスイートロールの作り方映像
2016年10月28日(日本では11月10日)、PS4とXbox One、PC向けに『Skyrim』のリマスター版「The Elder Scrolls V: Skyrim Special Edition」が発売されます。
この発売を記念してスイートロールの作り方を紹介するムービーが公開されました。
勇壮な『Skyrim』のテーマ音楽をバックに劇中さながらの見た目に焼きあがるスイートロール、とても美味しそうですね。
さらに、オーストラリア国内限定ですが、映像でスイートロールのレシピを紹介したパン屋さんで、このスイートロールを無料提供するイベントもあるとか。ちょっとうらやましい話ですね。
このムービーを見ればあなたにも「赤ん坊から盗むよりも簡単に」スイートロールを作ることができる? かもしれません……。