ゲームプレイヤーにとって一番の悲劇とは何でしょう。主人公の死亡、ヒロインから嫌われる、重要なアイテムを取り忘れる、いろいろ頭に浮かぶと思いますが、これを言うと多くの方が頷かれるのではないでしょうか。その悲劇とは『セーブデータの消失』です。
ゲーム機の進歩によってこの悲劇はほとんど起きないのですが、2014年4月に発売された『ニーア レプリカント/ゲシュタルト』は、プレイヤー自身の判断によってこの絶望を体験することとなったのです。
■『ニーア レプリカント/ゲシュタルト』のDエンド
主人公の「ニーア」は滅び行く世界で幼い妹(娘)の「ヨナ」と二人で生活していました。しかしヨナは不治の病に侵され、魔物に連れ去られてしまいます。
ニーアは偶然手に入れた人語を話す魔法書「白の書」、半身をマモノに取り憑かれた娘「カイネ」らと共にヨナ救出のため「魔王」の城へ向かって行きます。
本作品は周回プレイをすることでストーリー展開が変わっていくように出来ています。1周目は主人公ニーアだけの視点で進むAエンド、2周目はヒロインのカイネだけに届いていた声が聞こえるようになり、ニーアが倒したマモノのエピソードが語られるBエンドとなります。
そして3周目、ラスボスを倒した後にヒロインがマモノ化するというイベントが追加されます。これだけでもプレイヤーは十分精神的ダメージを受けるのですが、さらにここで一つの選択を迫られます。1つは彼女の命を絶ち業苦から救ってやるCエンド、もう1つは自分の存在を犠牲にして彼女を人間に戻すDエンド、この二者択一です。
ここで言われる「自分の存在」というのがセーブデータのことを指していて、この選択をするとすべてのセーブデータを消去してから最後のエンディングが見られる仕組みになっています。
ヒロインを自らの手で倒すか、ヒロインを助けるために数十時間のプレイデータを犠牲にするか、究極とも言える選択を迫ったのは後にも先にも本作品だけではないでしょうか。
■絶望再び?
もはや語り草となっていた『ニーア レプリカント/ゲシュタルト』でしたが、2017年初頭に世界観を共有する続編『NieR:Automata』(ニーアオートマタ)が発売されることになりました。
前作の『ニーア レプリカント/ゲシュタルト』も独特の美しい世界と音楽に彩られた中に悲哀と絶望を織り込んでいたことがマニアックな人達によって支持されましたが、次作の『NieR:Automata』も負けておらず、公開されたPVでも美しく物悲しい雰囲気が伝わってきます。
ディレクターを務めるヨコオタロウ氏がかつて手がけたゲームは、どれも悲劇、狂気、絶望といったものに溢れています。ハッピーエンドが存在しないといわれるほどの独自世界を持っておられる方です。
そんな氏がハッピーエンドと繰り返す『NieR:Automata』、はたして氏の言うとおりハッピーエンドとなるのか、それとも『ニーア レプリカント/ゲシュタルト』以上の絶望が待っているのか、今から非常に楽しみな作品の一つです。
(公式サイト)
NieR:Automata
http://www.jp.square-enix.com/nierautomata/