2016年に映画として公開されたゲーム『Warcraft』、海外では非常に好評でレビューサイトでのユーザースコアは年齢層関係なく10点満点中平均7.5以上、中には満点を付けている人が一番多いというサイトもあり、ゲーム原作映画としては非常に良くできた作品だったと言えるでしょう。
しかし遅れて公開された日本では同じようにはいかず、5点満点中3より少し上辺りでとどまっています。何よりも上映する映画館が少ないというのもあって人気いまひとつです。やはり日本でマイナーな海外ゲームが原作というのが良くなかったのでしょうか。
■洋ゲーに対する批判
海外産のゲームを一括りにして「洋ゲー(洋物ゲーム)」と呼ばれるのは数十年前から続いていることです。
しかし今日ではアメリカやヨーロッパだけではなく、アジア諸国やインドでもゲームは作られ全世界に向けて配信されていて、それぞれの国や開発会社、開発者によって様々な個性を持ったゲームが作られるようになってきています。それなので、海外製のゲームを「洋ゲー」の一言でまとめてしまうというのは少し無理があると言えます。
家電や車などでよく「日本製だから安全で高品質」という神話があったとされていますが、ゲームにもそれと良く似た意見が存在します。やはり日本が一番と言う思い込みは今となっては通じないことは多くのことで証明されているのですけどね。
ネームバリューやブランドに拘っていた家電業界の崩壊、同じことはゲーム業界でも起きるのです。
これは決して海外のゲームが良く、日本のゲームが悪いというのではありません。海外であろうと日本であろうと、評価するに値しないゲームは多数存在します。
ただ、開発時点から日本語に対応するメーカーや、日本語訳を入れて国内販売してくれる会社が多くなり、ネットワーク配信などでもいろんな国のゲームが手に入れやすくなってきた今日、洋ゲー和ゲーの区別はほとんど意味をなしませんし、それで面白いゲームを逃してしまうほうが勿体無いことだと言えるでしょう。
■『Warcraft』が日本でマイナーな理由
そんな洋ゲー批判が強い頃にRTS(戦略ゲーム)『Warcraft』は国内販売されました。
しかも日本語版はシリーズ作でありながら1作目はなく2作目からとなります。
この日本語訳の質が非常に悪い、英語版に適用されたアップデートに対応できない、ネットワーク対戦がメインのゲームなのに日本以外と対戦できない、などといった致命的な欠陥を持っていたため売上は低迷してしまいます。当然人気はでません。
そもそも発売された1995年はまだ国内のPCゲームの市場はそれほど育っておらず、その中での不手際は致命的だったとも言えるでしょう。
国内版『Warcraft』の不幸はこの後も続きます。日本代理店が変更となって2003年に『Warcraft 3』が販売されますが、やはりPCゲーム市場は発展途上のため本数は振いませんでした。当時はPS2とゲームボーイアドバンスの全盛期なのでPCゲームに目を向ける人が少ないのは仕方ないことです。
そして2004年『Warcraft』は大人数ネットワークゲーム(MMO)にその世界観を譲り、『World of Warcraft』へと変わりました。最大規模のネットワークゲームの誕生です。
残念ながらこれを日本語に翻訳する会社は出ていません。また日本運営もないため、世界で一番プレイヤー人口の多いゲームであっても日本人の比率は極めて少ない状況です。このように『Warcraft』のシリーズは日本と縁のないゲームだったのです。
■『Warcraft』の開発会社と日本の今後
『Warcraft』を開発した「Blizzard Entertainment」社は長い間、日本サービスに対して慎重な姿勢を見せていました。それは『Warcraft』の販売不振ではなく、同社が行っているサービスに見合うことができる運営会社がないという判断からでした。
しかしネットワーク技術の発展により日本代理店を立てて運営を委任する必要がなくなったため、最新作の『Overwatch』では日本でもプレイできるようになりました。
ゲームのできの良さと親切で迅速な対応をしてくれる運営、この二つを持った最高峰の対戦シューティングが日本でもできるのはプレイヤーとしても喜ばしいことです。
これを期に和ゲー洋ゲーといった区切りをなくし、「面白いゲームに国境なし」となって欲しいものです。
(公式サイト:Overwatch日本)
http://www.jp.square-enix.com/overwatch/
(公式サイト:Overwatchアメリカ)
https://playoverwatch.com/en-us/