最近、ゲームの販売手法として『エピソディックゲーム』というキーワードを見かける機会が増えています。
耳新しいこの『エピソディックゲーム』とは一体どんなゲームのことなのでしょうか?
■テレビドラマのようにエピソードを分けて販売する『エピソディックゲーム』
『エピソディックゲーム』の“エピソディック”(Episodic)は英語のエピソード(Episode)を形容詞化した言葉。
つまり、一本のストーリーをエピソード毎に分割・販売するゲームを意味します。
実はエピソディックゲームの形態そのものは決して新しいものではありません。
すでに10年前となる2006年には、当時人気のあったFPS『Half-Life』のシリーズ2作目がエピソード分割で発売されています。(ただし現時点で未完)
エピソディックゲームには、当初からユーザーと開発者双方にメリットがあると考えられていました。
ユーザー側から見れば、最初のエピソードを通常のゲームソフトの価格帯よりずっと安い値段で=お試し感覚で購入し、好みに合わなければそれ以上お金を払わなくてもいいという利点があります。
一方で開発者側から見れば、エピソードを分けて販売することでプレイヤーの反響からその好みを理解し、以降のエピソードをよりプレイヤー受けする内容に修正できるというメリットが発生します。
しかし、一方でエピソディックゲームには分売商法というイメージがつきまとうことも事実であること、また、エピソードの製作スピードよりもはやくゲームエンジンの進歩が進んでしまい、新しいエピソードを発売できてもその時点ですでに陳腐化してしまう恐れがあるなど、デメリットも多く存在していました。
そんな中、アメリカのゲームメーカーTelltale Gamesは、人気テレビドラマ『CSI』や『THEq WALKING DEAD』などをアドベンチャーゲーム化、エピソディックゲームとして展開して評価を集め、販売形式としてのエピソディックゲームの定着に貢献してきました。
■大手メーカー参入でエピソディックゲームの市場は拡大するか?
エピソディックゲームはその販売形式から、ストーリーを追いかけるオーソドックスなアドベンチャーゲームに適していると考えられてきました。
その成功事例のひとつが、2015年にフランスのメーカーDONTNOD Entertainmentがリリースした「ライフイズストレンジ」です。
全部で3つのエピソードからなるこのゲームは、いじめや家庭内での問題を題材とした学園青春ドラマ風のストーリーが欧米で大きく評価され、日本国内でもスクウェア・エニックスがローカライズ、3エピソードをまとめた形で2016年3月3日にリリースされることが決定しています。
まだ、アドベンチャーゲーム以外のゲームでも、エピソディックゲームの形式を採用する動きが出てきています。
スクウェア・エニックスが販売を手掛けるステルスアクションゲームの人気シリーズ『ヒットマン』の最新作がエピソディックゲームとして販売されることが決定、また、2015年に製作発表され大いに話題を呼んだ同社の人気RPG『ファイナルファンタジー7』リメイク版も、エピソードごとに分割された形式での展開が発表されています。
果たして、大手メーカーの参入でエピソディックゲームという販売形式は定着していくことになるのでしょうか?