小中学生を中心に大ヒットしているクラフト系サンドボックスゲーム『Minecraft』が、その教育的効果を見込まれて教育現場に導入されるなど、昨今ゲームの持つ副次的効果が注目される機会が多くなりました。
アメリカ連邦捜査局(FBI)が、テロ防止キャンペーンのために立ち上げたサイトでプレイできるゲームが話題を呼んでいます。
■米陸軍が開発したFPS『America's Army』
アメリカの公的機関が開発したゲームと言えば、2009年にリリースされたファーストパーソン・シューティング(FPS)の『America's Army』を思い出す方も多いでしょう。
Americas Army 3 Gameplay [Multiplayer] - YouTube
FPSの中でも、現実性が重視されるリアル系に分類されるこの『America's Army』は、最大24人でプレイ可能なマルチプレイゲームで、その難易度さはさすがに米軍が開発したゲームだけあって、同ジャンルのタイトルの中でも抜きん出て高くなっています。
オンラインでマルチプレイするためには、「基礎訓練」をクリアしなければならない、というのもこのゲームの大きな特徴です。使用する武器やプレイするマップの中には、同じく専門の訓練をクリアしないとアンロックされないものもあります。
新兵のリクルートを目的として作られたと言われるこの『America's Army』、その広告効果はどれほどあったのでしょうか?
■テロ防止キャンペーンで作られたのは、ヤギのゲームだった?
近年、国内外でのテロ犯罪の問題を抱えるアメリカ。
特に問題となっているのが、イスラム過激派組織「ISIS」などの勧誘を受けてテロ組織に入隊する若者が増えていることです。
アメリカ連邦捜査局(FBI)は国内の若者向けにDon’t be a puppet : Pull Back the Curtain on Violent Extremism」(操り人形になるな、過激な暴力極論主義 には陥らないで)という反テロリズムのキャンペーンサイトを立ち上げました。
サイトにはFBIからのメッセージや、テロ組織がどのようにして人を勧誘するかなどの手口が学べる様々なコンテンツが用意されていますが、特に目を引くのがブラウザでプレイできるFLASHゲーム「Slippery Slope」です。
このゲームは画面上のヤギのキャラクターを操作して、障害物を避けながら進んでいくというもの。ゲームの操作性にクセがあり、慎重に操作しないとヤギがすべって障害物に衝突してしまいます。
ゲームのタイトルとなっている「slippery slope」には、日本語では「すべり坂論法」と約される論理の手法を指す意味もあります。
「すべり坂論法」とは「一旦坂を滑りだすと止まることができなくなるから、最初の一歩を踏み出してはいけない」というもので、イギリスのトニー・ブレア元首相が在任当時、イラクからの撤兵を問われた時にこの論法を使って反論したことでも知られています。
要するに、このゲームのタイトルには「テロ組織と一度でも関わってしまうと、なし崩し的にテロリストになってしまうので、決して関わってはいけない」、という意味が込められている、ということですね。
主張するところはよく分かるのですが、それにしても、なぜそれがヤギのゲームなんでしょうか?
「slippery slope」は下記のサイトで遊ぶことができます。
FBI | Countering Violent Extremism | What is Violent Extremism?
https://cve.fbi.gov/whatis/?state=blameSection1